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皆藤 威二
JNC TN9400 2000-039, 19 Pages, 2000/03
高速増殖炉(以下FBRという。)の実用化戦略調査研究の一環として、冷却材として鉛を用いた場合の炉心材料の腐食について調査を行い、次のような知見が得られた。1.鉛-リチウム環境下でのステンレス鋼の腐食はNiの溶出が主要因であるため、Ni量の多い高Ni鋼ではとくに腐食が大きく、つぎにオーステナイト鋼、そしてフェライト鋼と順に耐食性がよくなる。2.オーステナイト鋼の溶出速度Da(mg/mの2乗/h)、およびフェライト鋼の溶出速度Dfはそれぞれ「log10Da=10.7873-6459.3/T」「log10Df=7.6185-4848.4/T」として表される(T:温度(K))。これら各材料の溶出速度Dに基づき、「C=(Dt)/10のマイナス3乗」として腐食量C(m)を評価することができる(t:時間(hr)、:各材料の密度(g/cmの3乗))。3.上記評価式を用いてオーステナイト鋼およびフェライト鋼の腐食量を推定した結果、フェライト鋼に対しオーステナイト鋼の腐食は非常に大きく、400で約6倍、600以上になると20倍以上の腐食量となった。鉛-リチウム環境下での現実的な使用温度は、オーステナイト鋼で400(30000hrで約60mの腐食量)以下、フェライト鋼でも500(30000hrで約80mの腐食量)以下と考えられる。
水田 俊治; 上平 明弘; 鵜飼 重治
JNC TN9400 2000-032, 38 Pages, 2000/03
実用化戦略調査研究において炭酸ガス冷却炉の炉心材料としてオーステナイト鋼を用いる場合には、炭酸ガスによる腐食を評価しておく必要がある。そのため、オーステナイト鋼の炭酸ガス腐食特性等に関する文献について調査し、炭酸ガス腐食に影響を与える因子について評価した上でデータの選定を行い、PE16、20Cr/25Ni/Nb、18Cr-8Ni及びJNC材について炭酸ガス腐食式を策定した。オーステナイト鋼の炭酸ガス腐食式は放物線則に従うとして文献データの上限式によって、表すことにした。炭酸ガス腐食データのないJNC材(PNC316, PNC1520, 14Cr-25Ni)については、Fe-Cr-Ni系において重量減少の等しい領域にある18Cr-8Ni鋼をベースにして、炭酸ガス腐食に影響を与える因子の最も大きいと考えられるSi添加量の影響について評価し腐食式を策定した。また、JNC材の高Ni鋼については20Cr/25Ni/Nbにより策定された式(省略)を適用することにした。
本田 卓*; 山口 新吾*
JNC TJ8400 2000-007, 200 Pages, 2000/02
数百年以上にわたって土壌中に埋もれていた鉄製の考古遺物は、腐食による厚い錆層に覆われており金属鉄の残存状態や原形の推定が極めて難しい。本研究では約5001,000年前の遺跡から発掘された釜、短刀、釘などを対象に研究を実施した。(1)X線CT計測により錆層と鉄とを高精度に分離計測でき、更に鉄が残存しない場合も原形状を推定できること等を明らかにした。また、X線透過試験との比較も行った。(2)密度測定、付着物の化学分析を実施し、X線CT計測により得られた錆厚さから腐食量及び腐食速度の推定を行った。(3)同年代の鉄滓を評価し、古代鉄と現在の炭素鋼の性状の違いについて検討した。
本間 信之*; 千葉 恭彦*; 棚井 憲治
JNC TN8400 99-047, 54 Pages, 1999/11
本報では、高レベル放射性廃棄物の地層処分の人工バリアを構成する要素のうち、オーバーパックについて、第2次とりまとめにおいて提示した炭素鋼オーバーパックの仕様例に対する設計の考え方を中心に、複合オーバーパックの概念の紹介も含め、設計要件、構造設計、製作性および検査性の観点から検討を行った結果を報告するものである。まず、人工バリアの構成要素としてのオーバーパックに求められる設計要件および設計の前提条件をまとめた。候補となる炭素鋼材料については、一般に鍛鋼、鋳鋼、圧延鋼などが用いられるが、軽水炉の圧力容器等にも使用実績の豊富な鍛鋼を選定した。次に炭素鋼オーバーパックについて、処分後に想定される荷重条件の設定を行い、耐圧厚さを決定した。加えて、腐食量の検討から想定寿命期間中の腐食厚さを求め、さらに、腐食に影響を及ぼす地下水の放射線分解防止のためのガラス固化体からの放射線の遮へいに必要な厚さを検討したうえで、オーバーパックの必要板厚を求め、炭素鋼オーバーパックの仕様例として提示した。板厚は190mmとなり、第1次取りまとめ時(平成3年)に設定した仕様と比較して、30%の低減となった。また、オーバーパックを実際に製作し、操業時の利用に当たり考慮されるべきいくつかの点、すなわちガラス固化体の封入、本体および封入溶接部の検査、ハンドリング機構等について、現状の技術をベースに検討を行い、検討すべき課題の抽出と今後の見通しをまとめた。複合オーバーパックの概念については、炭素鋼オーバーパックとの設計の考え方の相違点を中心に紹介した。最後に、今後のオーバーパックの研究開発において検討されるべき課題およびその見通しをまとめた。
吉田 英一; 青砥 紀身; 平川 康; 田所 裕
JNC TN9400 2000-024, 42 Pages, 1999/10
大気環境中へのナトリウム漏えい燃焼時における炭素鋼SM400B-JIS G3106(床ライナ材等)の腐食減肉評価の信頼性を高めることを目的に、腐食速度評価線の見直しを行った。見直しは、ナトリウム漏えい燃焼環境のひとつである溶融塩型腐食(NaOH-NaO系)について、現行腐食減肉速度評価線の策定後に追加・取得された実験データ(550900C)を用いて実施した。実験結果に基づき、以下のような考え方で評価を行った。(1)NaOH-NaO系の環境中では、炭素鋼の腐食量は時間に比例して増大した。このため、直線則として評価した。(2)腐食減肉速度への実験雰囲気(大気、不活性ガス)や試薬攪拌の明瞭な影響は、認められなかったため、同等に取り扱い評価した。(3)腐食減肉速度は一定NaO濃度以下になると、低下する傾向がみられた。このため、実験中におけるNaO濃度は、Fe(炭素鋼試験片)とNaOとの支配的な反応を維持するために必要な限界濃度以上であることとした。評価の結果、追加されたデータ点数は67点となり、現行評価線に用いた評価データ38点を加えると、合計105点となった。105点を用いてArrhenius Typeで整理し、統計的な評価を行い、以下の腐食減肉速度評価式を得た。CR=C・exp(-Q/RT)ここで、CR:腐食減肉速度,mm/hC:定数Q:活性化エネルギ, cal/molR:気体定数, 1.986cal/mol kT:絶対温度, KQ=9.61kcal/molC=148.29(平均), 262.11(99%信頼上限), 83.90(99%信頼下限)
小川 益郎; 高津 英幸; 飯田 浩正; 関 泰
JAERI-M 91-119, 27 Pages, 1991/08
本報告では、核融合実験炉において、Ex-LOCA(External loss of coolant accident:真空容器外冷却材喪失事故)時のダイバータのタングステン温度に関する熱伝導解析について述べる。ITER(International Thermonuclear Engineering Reactor)のCDA(Conceptual design activity)において、本温度評価結果と他参加国の結果が合わせて検討され、最悪のケースを予測するためのレファレンスの最高温度として、700100Cが選択された。また、LOVA(Loss of vaccum accident)時における第一壁のアーマ材である黒鉛の腐食量評価についても述べる。真空容器内一杯分の大気による黒鉛腐食量、腐食時間、発熱量、一酸化炭素発生量を計算した。その結果、新鮮な大気が真空容器内に侵入し続けなければ、いずれの量も大きな問題ではないことがわかった。
依田 真一; 井岡 郁夫; 奥 達雄; 梅川 壮吉*
JAERI-M 82-089, 23 Pages, 1982/07
多目的高温ガス炉炉心部の黒鉛材料は、冷却ヘリウムガス中に含まれる微量O、HO、COなどの不純物ガスにより腐食され、その物理的機械的性質が劣化する。そこで、IG-11黒鉛に高温で熱的安定性に優れたTiCを表面接覆し、その腐食雰囲気中での耐食性と機械的性質について調べ検討した。TiC被覆により腐食環境下(大気中、873K)における腐食速度は、約1/3に減少し、IG-11黒鉛材料の耐食性を向上させることができた。しかしながら、3~4時間の腐食においては、TiC被覆層の剥離が生じた。また腐食後のヤング率は、同時間腐食後の非被覆黒鉛に比べ、その減少量は約半分に抑制された。曲げ強度においては、約4時間腐食後までほとんど強度劣化は認められず、その後はIG-11黒鉛材料と同様な傾向で減少した。これらの結果より、TiC被覆は、黒鉛材料の耐食性の向上に、極めて効果的であることが明らかとなった。